第二章 過程と結果

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 シェリーが女性給仕と共に謁見の間から出て行くと、ダンウェル王はすくっと立ち上がった。 「さて、ここじゃあ誰の耳があるか分からないからな。ちょっくら場所変えるぞ。いいな爺さん」  ダンウェル王の提案にヨハネスは頷き、国のお偉方がそう決めたのなら旬はそれに従う他は無い。  謁見の間から中庭に場所を移し、三人は木漏れ日の下でテーブルを囲っていた。  老人におっさんに少年。何とも華の無い絵だろうか、これで目的がアフタヌーンティーじゃないだけましである。 「本題に入るが、少年を騎士に推すのが思いの外難しくてな、致し方なくトリアーデの名を借りた」 「借りた?」 「はい。失礼ながらわたくしめが……旬殿はこの世界に元々存在していなかったので、素性が不明瞭ですのじゃ」  旬はヨハネスの言葉に軽く驚き、出どころであろうダンウェル王を見る。 「爺さんには俺が話した。なぁに、この爺さんは口は固い。それに、数少ない信用出来る人なんだよ」 「分かりました。ですが、次からはベラベラ喋らないで下さい」  ダンウェル王は分かったの分からないのか、ただ肩を竦めた。 「アカデミー卒業のような正式な手続き以外で騎士になるのは難しく、無い枠に無理やり我が子をと推してくる輩がおります故、そうなると政治的な部分が絡んで来ますのじゃ」  旬は何となく、裏口入学的な事を想像した。
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