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「ようするに、素性が不明瞭な俺を入れるくらいなら、金貰って別人入れる方がいいって輩が居るから、そういう会議で俺が負けないように、家柄をでっち上げた……ですね?」
旬は話を聞いた上で、それを纏め、自分の考えを足したものを口にした。
「その通り!」
ダンウェル王は軽い感じで言うが、やったのはつまるところ、戸籍を改竄するのと同じ事であり、それは簡単な事では無い。
「過去百年に遡り、血筋の残っていない貴族を探しました結果、トリアーデ家に繋がりましたのじゃ」
「という事は、俺は没落した貴族の生き残りで、厳密には貴族じゃないって事ですね?」
「おっしゃる通りです」
ヨハネスは大仰に頷く。
「とりあえず、少年はトリアーデを名乗れって事だな。……よし、話は終わり。シェリーの嬢ちゃんが戻る前に帰るぞ」
そう言って我先にと立ち上がるダンウェル王だが、話の割合からしてどうやらヨハネスの方が働いてくれたらしい。
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