第二章 過程と結果

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 日本には八百万の神という言葉があり、物にはそれぞれ魂が宿るとさえ考えられて来た。  ぶっちゃけてしまえば、そんなのは人それぞれである。  クリスマスを楽しむ仏教徒がいたり、無神論者なのに都合のいい時にだけ神頼みするくらいなのだから、八百万の神がいるという考えもありである。  しかし、旬は異界の地でついにそれっぽいのに遭遇してしまった。 「城に……魂が宿った、だと。という事は、守護神! 神様だな!!」  妙にテンションの高い旬の頭の中はこうだ。  守護神=神友達が居る=神は万能=帰れる。 〈違うよ。ワタシは守護霊またの名を守護精霊〉  旬の希望は文字通り一瞬で砕け散る。 〈ずーっと昔に契約したんだよ〉 「へ、へえ……」  ついテンションを上げてしまったせいで、それが下がった今は露骨に興味無さそうである。 〈キミはこのお城は戦いに向いてないと思った?〉  旬は頷く。 〈そうなんだよね。だからワタシが守ってるの〉  旬の前に光の集合体のような物が現れる。 〈この隠された中庭は、ワタシに選ばれた人間にしか開く事は出来ないの、だから普通の人が扉を開けても〉 「物置か」 〈御名答。因みに開けられるのは今のところ王族のみ〉 「ヨハネスさんや俺が入れたのは、ダンウェル王が開いたからか……という事は、王族を脅して開けさせれば入れると」 〈う……頭の回転速いネ〉 「そりゃあどうも」  旬はとりあえず肩を竦めて見せた。
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