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微笑を浮かべている守護騎士、フォルクスはアリアス以外全く見ようとしていない。
「何かの手違いか、こちらの詰め所に王都からの伝令が来ましてね。早急に帰還しろとの事ですよ?」
「それは手間を掛けさせたな。すまない」
アリアスは素直に礼を言う。
「ええ全くいい迷惑ですよ。姫様を守る為のバルキリーがこれでは、思いやられますね」
フォルクスは怜悧な笑みを浮かべながら、アリアスはおろかバルキリー隊への挑発ともとれる事を言う。
「……貴公の言う通りだ。面目ない」
アリアスは沸き起こる怒りを殺し、冷静に対処する。
「今、あの城が攻められたらどうするつもりですか? まあ、あの城を落とすのは容易じゃな……」
「いや、俺なら落とせるね」
ネチネチと小うるさいフォルクスを遮ったのは、話を聞いていた旬である。
「誰かと思えば、火事の時の英雄さんですか。ちょっと活躍したからといって、あまり大口は叩かない方が利口ですよ?」
「そうですね……すみません」
旬の言葉に、フォルクスは純粋な笑みを浮かべてしまう。
「大口叩きました。五人ならと考えてましたが、やっぱり六人は必要です」
ハッタリの可能性もある。だが、フォルクスから笑顔が消えた。
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