第一章 もう一人の騎士

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 微笑を浮かべている守護騎士、フォルクスはアリアス以外全く見ようとしていない。 「何かの手違いか、こちらの詰め所に王都からの伝令が来ましてね。早急に帰還しろとの事ですよ?」 「それは手間を掛けさせたな。すまない」  アリアスは素直に礼を言う。 「ええ全くいい迷惑ですよ。姫様を守る為のバルキリーがこれでは、思いやられますね」  フォルクスは怜悧な笑みを浮かべながら、アリアスはおろかバルキリー隊への挑発ともとれる事を言う。 「……貴公の言う通りだ。面目ない」  アリアスは沸き起こる怒りを殺し、冷静に対処する。 「今、あの城が攻められたらどうするつもりですか? まあ、あの城を落とすのは容易じゃな……」 「いや、俺なら落とせるね」  ネチネチと小うるさいフォルクスを遮ったのは、話を聞いていた旬である。 「誰かと思えば、火事の時の英雄さんですか。ちょっと活躍したからといって、あまり大口は叩かない方が利口ですよ?」 「そうですね……すみません」  旬の言葉に、フォルクスは純粋な笑みを浮かべてしまう。 「大口叩きました。五人ならと考えてましたが、やっぱり六人は必要です」   ハッタリの可能性もある。だが、フォルクスから笑顔が消えた。
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