第二章 過程と結果

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 謁見の間に戻ると、シェリーの明らかに苛立った眼光が旬を射抜く。  王様の前じゃなかったら、確実に何か言われていただろう。 「ふむ、揃いましたな。では今後について説明いたしますが、よろしいですかな?」  ヨハネスがダンウェル王に伺うと、任せるといった風にダンウェル王は肩を竦めて頷いた。 「騎士になったといっても、まだまだ新米。そこで二人には最初の任務として、ナリタリ鉱山に向かい、そこで鉱石を手に入れて欲しい」  ヨハネスの言葉に、旬はハッとダンウェル王を見る。  旬の思惑では、直ぐに書庫に入れると思っていたのだが、どうやらそれは見当違いで、なにやら大きな流れに流されてしまったらしい。  ゲーム的に言えば強制イベントである。 「ヨハネス爺さん。一緒に行って、一緒に帰ってくる。これも追加だ」  ダンウェル王は旬を見てニヤリと笑みを浮かべる。 「承知いたしました。では、任務開始は明日の昼。期限は5日間以内とする」  話がとんとん拍子に進み、ここでようやくシェリーが口を開いた。 「恐れながら、この任務の意味が分かりかねます。能力を測るという事なら分かりますが、なぜ一人で帰って来てはいけないのでしょうか?」 「んー、シェリーはなぜ二人が嫌なんだ?」  ダンウェル王は聞き返す。 「合理的に考えれば、そのような任務は一人で十分です。何より、遅刻するような人に足を引っ張られたくはありません」  シェリーの瞳が旬に向けられ、旬はゆっくり目を逸らした。
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