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キャス子に案内されるままに、旬は城内を歩く。
騎士養成学院の校舎とは比べものにならない程に広く、様々な部屋が存在している。
中には今の位じゃ入れないような区画まであるほどだ。
一階を突っ切ったと思うと、キャス子は突き当たりの階段を上昇していく。
謁見の間がある二階を過ぎ、三階で止まった。
〈もうすぐ着きますから、騎士を証明するような物を準備してください〉
キャス子に言われるがまま、旬は貰ったばかりのマントを見る。というか今はこれしかない。
非常階段のような場所から出ると、キャス子は先ほどと同じように進む。
〈ここですヨ〉
キャス子が止まった位置は廊下の真ん中であり、旬は位置的に謁見の間と同じ気がしてならない。
「なあ、この下は謁見の間かな?」
〈はい、そうです。わざわざ端の階段を利用したのは、それしか上に上がれないからなのですヨ〉
「ああ、なるほど。王族が上の階に居るから、一直線に行かせない為の構造か、となると……さっき上がった階段が狭かったのは敵をなだれ込ませないようにか」
旬は納得というように頷く。外見的には戦いに弱そうだが、内部構造はちゃんと考えられているらしい。
〈よく一瞬で気が付きましたネ〉
「まあね、俺の国の城もそんな感じなんだよ。階段を急勾配にしたりさ」
旬はそんな事を言いながら扉を開けた。
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