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例えるならば学校の図書室というのが、一番しっくしりするのではないだろうか。
旬は目の前に広がる本棚の列を見てそう思った。
そして椅子とテーブルが数人分しかない事から、利用者が少ないのが分かる。
「で、このマントは誰に見せればよろしいのかな?」
旬は手に持ったマントをキャス子に見せる。
〈あっちにご老人が居るので、見せてあげてください〉
キャス子は入って右の方へ移動して行き、カウンターのような場所で止まる。
光の集合体のような外観をしている割には、ほの暗いその空間を一切照らせていない。
カウンターだけ蝋燭の灯りなので、それは弱々しくそこに人が居るかさえわからず、旬は恐る恐る近付いた。
「……誰だ」
ヨハネスよりももっとしゃがれ、なおかつ低い声がしたと思うと、上半身を動かしたらしく蝋燭の灯す範囲に顔が入り、その輪郭が露わになる。
髪はボサボサで口髭と顎髭が一切手入れされておらず、見事なまでに髭が一体化していた。
いかにもジ○リ作品に出てきそうな、頑固オヤジの風貌である。
「見ない顔だな……ったく新人かよ。飲み食い禁止で持ち出し禁止」
それだけ言うと、オヤジさんは再び闇へと溶けていく。
〈誰でもあんな風で、いつも寝てるんですヨ〉
キャス子がそっと旬に耳打ちした。
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