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〈今ワタシやアナタは大陸語を話してますヨ? まさしくこの大陸共通語でス〉
「……という事は、言語は二つあるって事だよな」
〈同じく今のところはそうですネ〉
キャス子の返答に、旬は右手を口元に当てて思考を開始した。
言語の違うという事は、モルド諸島と大陸とは文化が大きく異なるのだろう。それこそ、日本とアメリカのように。
もっと例えるならば、大陸全土に普及している大陸語が英語だとすると、モルド諸島で主な言語は日本語だろう。
だが、旬は日本語を話している筈なのだが、今の今まで普通にコミュニケーションが取れている。
ジャン・ズーを立て直す際も、イレイアに日本語を書いたメモを見せたが問題は無かった。
同様に街中の看板も旬は読めていた。
しかし、旬の所持していた本は誰一人として読めていない。
(どういう事だ……俺は日本語を書いて、イレイアさんもそれを理解した。一方で日本語の本をアリアスさんは読めなかった)
同じ日本語なのだが、明らかに何かが違うのだろう。
だが、その違いが分からない。
「キャス子、アリアスさんを探して欲しい」
まずは本人に話を聞くべきだと思い、旬はキャス子に頼んだ。
〈了解しました〉
キャス子は快くそう言うと、壁に溶けて消えてしまった。
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