第二章 過程と結果

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 周りからの視線を感じながらも、旬はそれを無視する。 「アリアスさん、この後ってお時間頂けますか?」  旬の発したその言葉で、食堂の空気が凍った。  そして周りはひそひそと話しだす。 「どこの誰だかは知らないが、また無茶をする」 「僕でも駄目だったから、断られるのが目に見えてるよ」 「というか、バルキリーは鉄壁と言う言葉を知らないな。これだから新人は困る」  などと他にも哀れみや、旬の行動を馬鹿にする会話があり、結果が見えているからか注目度が一気に下がり、各々は食事を再開し始めた。  その時、アリアスはナプキンで口元を拭うと、グラスの水を一口飲んだ。 「うむ分かった。時間をつくろう。それで私はどこに行けばいい?」  アリアスの返答に、さして旬は驚きもせずに話を進めるが、周りは度肝を抜かれたように旬を見た。 「って、そうだった……今あの本持ってきてない」  書庫で意見を訊きたい旨をアリアスに伝えるも、検証に使う日本語の本は宿屋に置いてあり、取りに戻る必要が出て来た。 「一旦戻るのは少々手間だな。……ならばこれはどうだ? 私が貴公の部屋に行こう」  またもやどよめきが起こるも、旬とアリアスは気にしない。というより気が付いていない。 「でもそうすると、こっち側の本が無いんですよ。書庫は持ち出し禁止ですし」 「本くらい私が持っているぞ。それを持って行こう」 「本当ですか!? ありがとうございます」 「何、私も貴公の事は気になるのでな、お互い様だ」  もちろん異世界から来たという点が気になっているわけで、旬もそう汲み取ったのだが、周りにそれをしろというのは酷である。  人目も避ける事が出来る利点もあり、宿屋にアリアスが来るという事で話は纏まった。
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