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「で、早速なんですけど、これを見てください」
二脚ある椅子に二人を座らせ、旬はベッドの縁に腰を落とすと、二人に日本語で書かれた孫子の本を差し出す。
「……これは」
異世界とい事を話には聞いていたが、初めて見る文字にフローリアは驚きを隠せない。
「読めないですよね?」
旬は二人に訊くも、両者揃って頷いた。
「で、それと同じ文字を今書きますね」
そう言うともちろん日本語で、旬はメモ帳に孫子と書く。
「はい、読めますか?」
突き出されたメモ帳を凝視する美女二人は、声を揃えて言う。
「「ソンシ?」」
ハテナマークまで重なるあたり、まさか人の名前とは思わないだろう。
「そう孫子なんですけど。はい、ここでもう一度」
旬は本を差し出すが、アリアスは眉を寄せて言う。
「分からないな。どこの部分をソンシと読むんだ?」
旬は確かに日本語を、漢字を書いたのだが、二人に伝わり。同じ日本語なのだが、本は伝わっていない。
この違いに結果的な〝何か〟があると思い、旬はその何かを考える。
「あの、二人には書いた文字が大陸語で見えたんですよね?」
読めたという事はそういう事であり、フローリアはそうですと頷いた。
ここで旬は朧気ながら、とある仮説を立てようとしていた。
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