第二章 過程と結果

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「えーっと……グッドモーニング」  旬は試しに英語を言ってみるが、言葉をチョイスするレベルが少し残念なレベルである。 「ん?、どうしたいきなり、今は昼過ぎだぞ」  真面目に返すあたりアリアスらしいが、フローリアは旬の意図に気付いているらしく、その事に関しては何も言わない。 しかし、日本語が通じ英語が通じてしまう状況に、旬の方はやや参ってきている。 「今のは大陸語でしたか?」 「はい、グッドモーニングと聞こえました」 「ええ!? おはようじゃないんですか?」 「何を言っている。おはようだろう」 「いやアリアスさん、意味じゃなくてですね……」  混乱が増す旬の頭がピークに達しようとした時、旬は別の可能性を見いだし始めていた。  もし、異世界に日本人以外の外国人が来た場合はどうなるのか?  旬と同じように会話が成立するとしたら、向こうの耳には英語に聞こえなければならない。  一見するとアリアス達の方がおかしい気がしてしまうが、根本的な事を旬は忘れていた。  アリアス視点で見ると、旬は異世界からやって来た異世界の人間であり、この世界基準で考えると明らかに〝旬の方がおかしい〟のだ。
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