第二章 過程と結果

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 旬が立てた仮説はこうだ。異世界に持ち込んだ既に出来上がった文字媒体は通用しないが、自分発信なら通用する。  有り得ないような話だが、旬が存在する事自体がイレギュラーなのだ。 (……俺は大陸語を翻訳的な何かで日本語で受け取ったと思ったけど、翻訳自体が広く機能してるんじゃ……)  旬は猫型ロボットが出しそうな、便利アイテムのコンニャクを思い浮かべたが、今更ながらもう一つ大事な事に気が付いた。  大陸語やモルド語など言われて来たが、実のところ旬はそれを一度も見た事や聞いた事が無いのだ。  見れば日本語に変わり、聞いても日本語に変わっていたのだから仕方ないのだが、もし、大陸語と言われるものが地球圏でいう英語だとしたら……話は変わってくる。 「そうか、だとしたら辻褄が合う。大陸語は英語か、もしくはそれに近い言葉なんですよ!!」  閃いたとばかりに旬は立ち上がると、椅子に座る二人に迫る。 「まず俺になんらかの……異世界的な補正があるとします。それが自動翻訳なんですけど、俺は日本語しか分からないので日本語で受け取ってきました」  旬は一気にそう言うと、自分の紅茶を一気に飲み干す。  そんな旬を二人は唖然と見ている。 「大陸語が英語やそれに近い言葉だった場合、理解できる英語ならストレートで聞こえて、英語に近い言葉の場合は補正で英語に直るから分かるわけですよ。まあ、この場合は英語に近い言葉だと思いますけど」  補正の力があるならば、地球圏の誰が異世界に来ても問題は無い。  しかし、どんなに言ったところで、それが正解なのか旬には分からないのだが、旬はかなり舞い上がっていた。
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