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翌日、簡単に言えば出発の日。幼少期ならば遠足や旅行などの前日は、ワクワクして眠れなという事があるが、そんな気持ちをとうに失っている旬は普通に二度寝をした。
集合時間はお昼なのだが、時計が存在しないのでアバウト極まりない。
かといって遅れて何か言われるのは面白くないので、朝食を済ませた旬は荷物(着替えとペットボトル)を持って集合場所へと向かう。
町の出入り口である門は南に一カ所しかないので、旬はそこに向けてレンガで舗装された広い道を歩く。
しばらくすると門が見えてくるのだが、そこに赤紫色をした人物は見られない。
旬は何となく勝った気になり、足早に近付く。
「来たか、時間より少し早いな」
相変わらず重そうな鎧やらなんやらを装備した騎士団長が、旬にそう言うと地面に置かれた一つのリュックサックを指差した。
「必要最低限の物資だ。食料も入ってる。それとこれはアリアス殿からだ」
騎士団長は旬に四本のナイフを渡した。
ナイフといってもテーブルマナー的な物ではなく、明らかに軍用的な物である。
「そして伝言だが、隠し持っておけ……との事だ」
剣術を習ったのに何故だかナイフを渡された旬の頭上には、これでもかというくらい大きなクエスチョンマークが浮かんでいた。
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