第二章 過程と結果

28/50
前へ
/565ページ
次へ
 翌日、簡単に言えば出発の日。幼少期ならば遠足や旅行などの前日は、ワクワクして眠れなという事があるが、そんな気持ちをとうに失っている旬は普通に二度寝をした。  集合時間はお昼なのだが、時計が存在しないのでアバウト極まりない。  かといって遅れて何か言われるのは面白くないので、朝食を済ませた旬は荷物(着替えとペットボトル)を持って集合場所へと向かう。  町の出入り口である門は南に一カ所しかないので、旬はそこに向けてレンガで舗装された広い道を歩く。  しばらくすると門が見えてくるのだが、そこに赤紫色をした人物は見られない。  旬は何となく勝った気になり、足早に近付く。 「来たか、時間より少し早いな」  相変わらず重そうな鎧やらなんやらを装備した騎士団長が、旬にそう言うと地面に置かれた一つのリュックサックを指差した。 「必要最低限の物資だ。食料も入ってる。それとこれはアリアス殿からだ」  騎士団長は旬に四本のナイフを渡した。  ナイフといってもテーブルマナー的な物ではなく、明らかに軍用的な物である。 「そして伝言だが、隠し持っておけ……との事だ」  剣術を習ったのに何故だかナイフを渡された旬の頭上には、これでもかというくらい大きなクエスチョンマークが浮かんでいた。
/565ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54504人が本棚に入れています
本棚に追加