第二章 過程と結果

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 一つしかない門のある南側から出た二人は、ナリタリ鉱山のある西に向かうのだが、町の外……といっても門の前で支給された周辺地図を広げて進べきルートを確認する。  地図上だとナリタリ鉱山まではそんなに遠くないのだが、手前の森を抜けなくてはいけないので、そこで道を間違えると大変な事になってしまう。  その森までは道なりに進んで行けるので迷いようが無いのだが、問題は森に入る前の分かれ道である。  地図に森の内部が書いてあるわけないので、これ以上は現場を見るまでは分からない。  旬が地図をしまうと、シェリーも見終わったらしく地図を丁寧に折り畳む。 「よし、行こうか」  旬が出発の合図を促すが、シェリーは何も言わずにクルッと向きを進行方向へ変えた。  そして三歩ほど歩くと、立ち止まって言う。 「一々リーダーぶらないでください」  それだけ伝えると、一人でスタスタと進んで行く。 「…………」  数日間共に旅する彼女と交わした会話が、まさかの注意で始まり、旬はイラッときてしまい苦笑いすら出来ていない。  とりあえず旬も歩くが、彼女に追い付く気が無い。  こうして、足並み揃わない二人の、長く、そして危険を孕んだファーストミッションが始まった。
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