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陽が傾き空が茜色に染まる頃、旬は前を行っていたシェリーに分岐点で追い付いた。
正確には分岐点でシェリーが止まっていたのだが、旬を待っていたというわけでは無く、ただ単にどちらに進むか迷っていたのだろう。
旬はY字に別れた左右の道の先を見るが、完璧に別れているので道がまた交わる可能は低い。
「……どっちだと思う?」
とりあえずシェリーに意見を訊いてみる。
「分からないから立ち止まっているという状況が、分からないんですか?」
「いやいや、どっちか訊いただけじゃん」
シェリーの突っかかるような言い方に、つい旬も応酬してしまう。
「じゃああなたは分かるんですか?」
シェリーの問に、旬は黙って右側に行くとその場にしゃがむ。
「今から調べる。静かにしてくれ」
それだけ言うと旬は地面を観察する。
「……」
シェリーは空を見上げると、次に旬とは逆の左側の道を見る。
そしてシェリーは一人で進んで行ってしまった。
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