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鍵を取り出しながら猫に向き直る。
「此所が私達の家です。546、です」
「み」
ゆっくり番号を言い鍵を開ける。
ドアを開ければ中にと促す。
中は必要な物しかなくモノトーンで統一していた。
荷物を置けば風呂を沸かす。
「猫さん、お風呂入りましょう」
「!?」
風呂が分からないのか、何をするのかと怯えてソファに隠れる。
苦笑しながらしゃがみ込み目線を合わせる。
「大丈夫ですよ、暖かくて気持ち良いですから」
「…………」
ジトッと見て本当かと語ってはゆっくり出て来た。
コクコクと頷き出て来た事に嬉しくなりタオルと着替えを用意した。
風呂が沸きあがり猫を風呂場に連れて行く。
服を脱がせばボロボロのそれを畳み自分も脱いで洗濯籠にいれる。
2人で入り風呂の湯を桶で掬いゆっくり肩にかける。
「っ!」
ピクピクと耳を動かしキュッと目を閉じる。
「大丈夫ですか?熱いですかったら教えてくださいね」
問えば尻尾を揺らし大丈夫と訴える。
今度は少しシャワーを出しかけてみる。
「に…」
「暖かいでしょ?」
気持ち良さそうに目を閉じた猫に言えば、耳を動かし答えを得た。
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