第1話 猫と出会い

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アパートから少し離れた場所に、その動物病院はあった。 我妻動物病院 院長は人柄も良く優しいと評判で、診察も丁寧で治りが良いと人気の病院だった。 院長、我妻秋一は起こされてドアを開けた。 見れば猫を抱えた知人が困ったように立って居た。 「白銀…どうしたのその子」 とにかく中にと言いながら招入れ、寝間着のまま白衣を着た。 取り敢えず猫を寝かせて診察を開始する。 「…アパートの近くに居て、なんだか放っとけなくて」 「なるほどね…診たところ栄養失調と貧血…疲労が溜まってたんだね」 腕の怪我の周りをまず綺麗に拭いて、消毒と化膿止めに注射をしてガーゼと包帯を巻いた。 それから点滴をやればきちんとベッドに寝かせる。 「暫く入院だね」 「ありがとうございました…すいません起こしてしまって」 「良いんだよ、仕事だから」 そう言いながら手を振り微笑んで、猫の首に目をやる。 と言っても実は院長、目が見えない。 でも感覚や気配で分かるらしいので凄い。
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