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手当てをしてもらい、綺麗な手が絆創膏だらけになってしまった。
「ありがとうございます、院長」
「良いんだよ、暫く居るならそこにイスと…毛布あるからね」
そろそろ準備してくると言われ、ペコリと一礼し見送る。
近寄ってイスに座り、先程より良くなった顔を見る。
汚れは一通り落としたけど、お風呂に入れなければなどと考えてみれば、昔飼って居た猫を思い出す。
見れば似てる、容姿。
小さく欠伸をし、猫が寝ているベッドに頭を乗せる。
もう考えるのは止めて休もうと白銀は目を閉じた。
…………………
……………
「う……」
小さく猫は身動いで目を覚ます。
ゆっくり起き上がり周りを見れば誰も居ないと思えば、ベッドに先程の男が眠っていた。
最初驚いたものの、絆創膏だらけの両手を見れば、尻尾をパタリと揺らす。
何故怒らないのか、とか構うのかと思いながら、どこか疲れた様子の男を引っ掻くわけにもいかず、いきなり開いたドアに目をやった。
「あれ?起きた?って今度は白銀が寝てる」
院長は朗らかに微笑み毛布をかけてやった。
「僕はここの病院の院長で我妻秋一って言うんだよ」
宜しくねと微笑み点滴を変えた。
それを見ながら尻尾で白銀を指した。
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