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「もしもs「た、孝宏…!今…ブリがリビングにおるんや!…た、助け…!っ…」
携帯の着信音が鳴ってると思って出てみれば健一で。ブリが出たとかで凄い慌てたように喋ってくる。しかも声が泣きそうな声で喋ってくるものだから可愛いな、と思ってしまうがきっと今の状況じゃ怒るだろうからそのことは健一に言わないでおく。
もしかして…ブリって…ゴキブリのことか…?
「ゴキブリぐらい自分で倒せるだろ?」
「そ、それが無理だから電話してるんやっ…!!!」
直ぐに健一の家に行っても面白くない…と考えてしまう自分は改めてSだなと今更ながら思う。
俺の言葉を聞けば健一は本当に泣きそうになってるのが分かる。
あまりの可愛さに思わずにやけそうになったけども、なんとか我慢して、問いかけた。
「じゃあ、ゴキブリ退治するかわりに条件付きな?」
「じ、条件?」
「そ。どうする?」
「……」
黙り込む健一。
多分俺のことを怪しんでるんだろうな…。ま、絶対に引き受けるって言わせてやるけど。
「俺の気分が逸れる前に早く決めないとゴキブリ退治辞めるよ?」
「っ…!な、なんでもやるから早く来て…!」
ほら。
まんまと簡単に俺の嘘に引っ掛かった。
ゴキブリ退治を辞めることなんてする訳がないのに…毎回、毎回俺が倒してきたんだし。
俺は直ぐに引っ掛かった健一に思わずクスリと笑ってしまいそうになる。
「じゃあ、直ぐに行くから部屋から出るなよ?」
「わ、わかっとる!」
そのまま電話を切ると、直ぐに玄関を出て走って健一の元へと向かった。
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