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ブォッ!ブォッ!
3台のスポーツカーがトシキの目の前に現れた。トシキは3台を見て嬉しそうに微笑む。
山の頂上から少し下ったところにある本蔵山第三駐車場…そこは週末の夜になるとスポーツカーに乗った若者が集まる「溜まり場」となる。
そう…。
いわゆる走り屋というヤツだ。
走り屋とは峠や山道を常識外れのスピードで「攻める」人間のことである。
排気効率を第一に考えられたマフラーは爆音を発し、狭い山道を猛スピードで駆け抜ける…。
当然法律違反なのは言うまでもないことだ。
ワイドショーでもその傍若無人な振る舞いが取り上げられたりする。
トシキ自身、そんな危険な世界に身を置いていることに罪悪感を感じてはいた。
一歩間違えば自身の命を落とし、関係のない誰かの命を奪うことになる…それはよくわかっている。
それでもやめられない…。
そんな自分のことをカッコいいなどとは微塵も思わない。
それでもやめられないんだ…。
この狂った世界に一度足を踏み入れたからには…。
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