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気づけば姿を現した3台はトシキの愛車…三菱ギャランフォルティスの横に停車した。
通常、走り屋と呼ばれる者達はハイパワーかつ軽量なクーペやセダンを愛車に選ぶことが多い。
運動性能を第一に考えればそれが自然な答えだからだ。
だがトシキは違っていた。
トシキの愛車であるギャランはボディこそセダンであるが6速CVTでわずか154馬力のパワーだ。さらに車重はゆうに1.6トンを越える。
6速CVTはステアリング裏のパドルで自在に操作可能で足回りもベースグレードより純正の状態で固めのセッティングとなっている。
一応はスポーティーセダンの部類には入るのだが、決して走り屋が好む車ではない。
だがトシキはことの他このギャランを愛していた。
当然、ピュアスポーツである周りの車とは大きなハンディを背負っている。
だがトシキにはそんなことはどうでもよかった。
好きな車と気の合う仲間達と同じ時間を共有する…。
それこそがトシキが走り屋の世界に身を置く理由だったからだ。
走り屋と言えば漫画や映画の影響で過激なカーバトルがその真髄だと思われがちだ。
ところがトシキは一度もそのようなバトルを経験したことがない。
ただ仲間と溜まり場で好きな車についてお喋りし、たまに気が向けば山をのんびりと攻める…そんなまったりとしたトシキの走り屋スタイルを責める者はいなかった。
それはトシキが本気で車を愛していることを周りが理解し、そして何よりトシキの穏やかでのんびりとした性格が周囲の人間を和ませるからだ。
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