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徐々に全身を染めていた黒色が流れ落ちていくように、少年の全容が月光に照らされて明らかになっていく。
だが男には顔なぞわからずとも、この少年の正体は知っていた。十代前半が妥当な背丈に、影を使ってこんなことがなせる少年を。
「《闇竜王》のガキか……!」
「ピンポーン、だいせーかーい。……でも、ガキって言われるのは好きじゃないな。隼人なんかよりもよっぽど優秀だし」
男の前で余裕の表情で立つ少年――大雅は、ポッケから右手のみを出すと串刺し状態の女を指差して続ける。
「……で、計画ってなんなのかな? 場合によってはそこの人みたいに……なんて甘いことは言わないけど。おじさんたちはすでにマーラの涙を譲渡した罪で、僕に殺される運命だからね」
隣でまったく動かなくなった女に一瞥を投げた男は、笑い出した。だが、大雅は眉ひとつ動かすことなく、無表情で男を眺める。
「はっはっは、よくこの場所がわかったな? どうやって我々を見つけ出した?」
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