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少年の不気味な笑みに畏怖の念を覚えてしまった男は、やれやれ、と肩を落とし、大雅を睨む。
「……今ここで消す、と言いたいところだが、君が相手だとこっちもいろんな覚悟を決めないといけないからね。ここは――」
「逃がさないよ」
「――!?」
男の足元にある影から鋭い棘状の物体が両足首を貫き、男のアキレス腱を切断した。
唐突すぎる攻撃に反応できなかった男は、激痛のあまり倒れこむ。
「真夜中に僕から逃げようだなんて、ダサい隼人でも考えはしないよ」
苦痛で顔を歪めているのがぼやけていてもわかる男を見てケラケラ笑う大雅は、一瞬で無邪気な笑顔を無表情に変え、
「――さあ、“屍塁闇王”。食事の時間だ」
大雅の影が大きく歪み、そこから巨大な生物が姿を現した。だがその異形な生物に大雅は魔術をかけているようで、男や女の顔のように全体がぼやけている。
「な、な、なんだそれは……!?」
「あれ、こうしても怯えちゃうの? うーん、隼人がマジでビビってたからこんな風にしてみたんだけど……」
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