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男の震えた声を聞いて、クルッと振り返り自分の相棒である《屍塁闇王》を顎に手を当てて眺めていた大雅であったが、まあいいや、と呟くと再び倒れている男の方を向く。
そのとき男はスキだらけの大雅に向かってダガーを投げていたのだが、同じように影から現れた黒い物体に防がれてしまった。
これは意識に関係なく発動するため、男が攻撃してきたことなど知らない大雅は、未だに串刺し状態の女に一瞥を投げる。
「そーだ。おじさんの仲間の方からタナトスの胃袋に招待してあげるよ。腐らないうちに食べさせないと、タナトスもおなか壊しちゃうしね」
「……!?」
隼人が大雅を嫌悪する理由は、ただ単純にバカにされているからではない。もちろんそれもあるのだが、大雅の残虐すぎる思考が隼人には許せないのだ。無論こんなことをだれこれ構わずやるわけではなく、A級犯罪者にしかやらないが。
だれかが一緒にいるときはそれなりに自主規制しているのだが、やはり一人ではそんなことを気兼ねなくやれる。だからまだ十代前半であるが、大雅は一人で世界中を彷徨いているのである。
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