428人が本棚に入れています
本棚に追加
「さてと」振り向く大雅。だが、その視線の先は《屍塁闇王》ではない。「……おばさんも、覚悟はできたのかな?」
そこには先ほど《屍塁闇王》に食べられたはずの女が、微笑みながら腕を組んで立っていた。
屈託のない笑みを浮かべる大雅に、女は訊ねる。
「ふふ、いつ頃から気づいてたのかしら?」
「おばさんを刺したとき」
頭の後ろに手を組み左足に重心を置くようにして立つ大雅は、女の問いかけに対してすぐに答えた。
あら、ともらした女は、大雅に言う。
「じゃあ知ってて、食べるところを見せたのね。可愛い顔してなかなかヒドいことするわ」
「別に。間違ったことをするヤツに地獄を見せないで殺すなんて優しいことはしないだけだよ。僕はただ……赦せないんだよね、そういったヤツらが」
大雅の背後にいる《屍塁闇王》が、戦闘態勢に入る。女もそれを察知し、臨戦態勢を整えた。お気楽ムードの大雅は続ける。
「ただ助けなかったってのが、少し誤算かな。そのまま一緒にパクッといく予定だったのに。な、タナトス?」
背後の《屍塁闇王》に同意を求めるように見上げた大雅に、女はふふ、と笑いながら口を開く。
最初のコメントを投稿しよう!