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「そんな魔石の力で舞い上がっているだけの男なんて、私には助ける価値もないわよ」
「僕にはおばさんも同類に見えるけど?」
大雅の挑発に、女の眉がピクッと動いたように見える。
「……本当に同類かどうか、試してみる?」
「最期にあがく人は嫌いじゃないよ。……その方がより無様だからね」
ニヤリと不適に笑う大雅に、女もニッコリと微笑むと右手を地面につけた。すると、まわりから煙が舞い上がり姿を眩ます。
「もう。目眩ましなんて、意味ない――!?」
女の行動に呆れた大雅が《屍塁闇王》に命令を出そうとすると、ある違和感に気づく。そう、女の気配がなくなっているのだ。
『私の幻は見抜けても、ウソには騙されるなんてまだまだ子供ね。アナタと遊んでいられるほど、私もヒマじゃないの。お子ちゃまは早く寝なさいよ。バイバーイ』
「……“屍塁闇王”。ヤツを追えるか?」
大雅は見上げて訊ねるが、《屍塁闇王》は首を横に振るのみ。どうやら女は《屍塁闇王》対策として魔力を封じて逃れたようである。
「……まあいいや。僕も眠いし」
ふわあ、と無邪気な顔で欠伸をもらした大雅は、《屍塁闇王》とともに影の中へと消えていった。
夜は、まだ明けない――
See u later.
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