終末への招待状

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「けどさー、幼馴染みってあれだろ。『大きくなったら結婚しようね』とか言うんだろ」 「………何の漫画すか、それ」 龍之介はため息をつく。 少なくとも龍之介と美寧は、そんな約束をしたことはない。 それから同じような質疑応答を、何度も繰り返した。 しばらく続けると気がすんだのか、やけににこやかな顔で彼は言う。 「そっかー。本当になんもねぇのな。けど話してる時のお前らさ、すっげぇ楽しそうだから。何か他の奴を寄せ付けないっつーか」 「………そんなことは、」 龍之介は否定の言葉を、最後まで言うことがきなかった。 「ある。お前の彼女、絶対妬いてるって。言われたことねぇの?」 ―――ない。 それなのに何故か、沙弓の寂しげな顔が頭をよぎった。
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