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「あーもうっ!ムカつく!」
初日は授業もなく、学校はすぐに終わった。
教室の戸を乱暴に開けて出て行く雅を、沙弓が本日何回目かわからないため息付きで追いかける。
「もー雅。ヒヤヒヤしちゃったよ。初日からあんなに先生につっ掛かって」
「だって!ムカつくんだもん。絶対自分は正しいみたいな顔しちゃってさ」
「でもさっきのは雅が悪いよ。クラスのみんなもびっくりしてたじゃん」
「沙弓以外のクラスの子なんてどうでもいいよ!」
「……」
またか、と沙弓は思った。返す言葉も見つからない。
中学の頃からそうだったのだが、雅は沙弓に異常に執着する。
どこに行くにも一緒なのはもちろん、沙弓が他の子と仲良くしているとすぐに拗ねる。
見た目は大人っぽい長身の美人であるのに、中身は驚く程に幼稚なのだ。
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