『彼』の失った時間

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「久し振り。……でもないね」 沙弓にそう声を掛けてきたのは泉 美寧(いずみ みね)だ。 下品にならない程度に明るくした長い髪に、フワフワとしたパーマをかけている。 白いシャツに黒いカーディガン、ネクタイは赤と黒。チラチラと光るゴールドのピアスがお洒落だった。 白い肌と目元を飾る長い睫毛が大人っぽい。 「全然久し振りじゃないよー!てゆーかかなり頻繁に会うし」 「あんなに家近くちゃねぇ」 実際、沙弓と美寧の家は目と鼻の先だ。 「さっゆみーん!久し振りぃ。会いたかったわ!」 「……わわっ」
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