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「失敗に終わる上、自分も傷つくのがわかっていても?」
「………もちろん」
美晴迷いなく答えた。
祥平は笑顔を崩さない。
「最後まで悪役を演じ抜くつもりなんだね。見上げた根性」
ゴクローサマ。
祥平は小さく手を振って、美晴より先に昇降口を出た。
一度も振り返ることなく、まっすぐ校門に向かってゆく。
ひとり取り残された美晴は全身の力が抜けて、その場にへたり込んでしまった。
後悔はしてない。本当だ。
時間を遡ったとしても、復讐を繰り返すと言った言葉も。
今更涙を流して改心なんて、そこまで図々しくもない。
だけど。
「どうして、こんなに虚しいんだろう……?」
沙弓が許せなかった。
殺してやるつもりだった。
いや、許せないのは今も変わらない。
しかし彼女が自ら車道に飛び出し、跳ねられたことを聞いた時、美晴の胸に喜びは微塵も湧かなかった。
幸せになれなんて思えない。絶対に。
だけど、これが、
「これが、あたしの望んだ結末………?」
美晴は涙も流せないまま、虚しさの海に沈んでいった。
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