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しかし、それでもいいとさえ思った。
龍之介が、それを望んでいるならば。
このままずっと彼女が目覚めずにいるより、少しでも龍之介が救われるのなら。
その時は、自分も笑顔で沙弓と話そう。
復讐のことなどなかったかのように、彼女の話に頷いて。
「半分、背負うよ………」
龍之介だけに、辛い思いはさせたくない。
彼は充分傷付いたはずだ。
美寧も墓石に手を合わせる。
森、ごめんなさい。
大好きだったのに。
お願いできる立場じゃないけど、お願いです。
龍之介に、救いを与えてあげて下さい。
いつの間にか、美寧は泣いていた。
大粒の涙が零れ落ちてゆく。
泣けない龍之介の分まで、美寧は涙を流し続けた。
沙弓、ごめん。
もう許すも許さないも言わないから。
あたしはあたしの罪だけを見るから。
お願いだから、目覚めて龍之介に微笑んであげて。
あたしの大馬鹿の幼馴染はあんたのことが大好きで、こんなにも傷付いていて、それを癒すことは、あたしにはできない。
雨は2人の願いを包み込むように、静かに優しく降り続けた。
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