『彼』の失った時間

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「はいはい。とりあえず駅集合組は揃ったね。行かない?」 美寧がそう言うと、裕紀が意外そうな顔をした。 「え、今日祥平は来ないの?」 黒川 祥平は美寧の彼氏だ。 この地域で飛び抜けた偏差値を誇る、八神西高校に通う秀才である。 「来るよ。ただね、今日は美晴ちゃん連れてくるんだって。あの子委員会らしいし、遅れて来るってさ」 「美晴って、須藤美晴さん?うわ、ちょっと懐かしいかも」 あ、俺卒業以来だ。 真人が1人ごとのように呟いた。 「そういや、あの人も八神西だったね」 「クラスも一緒だったみたいだよ」 「てゆーか、祥平と美晴2人で来るの?信じらんなーい。美寧、それでいいわけ?」 雅は呆れたように言った。
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