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雅は彼氏の話をする時におきまりの、少し得意気な表情で答えた。
「2年と1月目。多分このまま結婚するから」
「はは、お前の父ちゃんは認めないだろけどな」
「っ……それは」
龍之介が笑うと雅は一転、言葉を詰まらせ拗ねたように彼を睨んだ。
雅の父親は一代で会社を起して成功した企業家で、とても厳しい人物だった。何かあると真っ先に学校に乗り込んで来るタイプでもある。
この年の雅を本気で見合いさせようとしたこともあるらしい。
「フリーターが『娘さんを下さい!』なんて来たら絶対ぶっ倒れるよな」
「フリーター?まだ先輩も高校生でしょ。進学しないこと決まったの?」
高松先輩、そこそこの進学校じゃなかったっけ、と美寧が思っていると、その疑問には篤子が答えてくれた。
「違うよ美寧。高松先輩去年高校辞めたの。だから今はバイトしてるんだって」
「え、そうなの?俺も知らんかった!」
真人も意外そうな顔をしている。
「け、ケンちゃんの話はもういいでしょ!もう行こ!アンネが待ってるよ!」
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