tastes milk

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tastes milk

顔が膨張し続ける、どんどんどんどんどんどん。しかし、おそらく質量は変わっていない。精神はどろっとしているが、それも変わっていない。膨張は無限だった。目は窪んでいき遂には皮膚に吸い込まれた。口腔内は肉団子に圧し潰され、唇から溢れ出た。その奔流を押しとどめる為に、針で縫いつけるとその傷口は見る間に再生し、跡形もなくなった。鼻は削げ落ちてまん丸の二つの穴が間抜けだった。その愚鈍そうな目もじき吸い込まれてごぼっと鈍い音がする、毛が詰まったのだ。代わりにそこには小さな芽が生えた。それはピンクの二重丸で甘い香りを漂わせている。髪も抜け落ちた。耳もきゅっと縮こまり、くるりと丸め込まれて、ぎりぎり絞られて、ぽろっと離脱した。もう何もない。ごっそり持っていかれた。ただ一点のピンクの二重丸のみである。ぐわんぐわんとリズムに乗っかって、一瞬の立ち眩み、ぼしゅーんと閃光が弾けて目の前できらめく星が瞬いた。辺りには白濁が噴出して、曇りのない白が目の前を覆う。目はもうないのだけれど。はっとなる、目の前には唇。その唇が、二重丸に吸い付いている。
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