tastes milk

2/2
前へ
/2ページ
次へ
ほら、あなたが背中をとんとんとしてくれないから吐き出してしまったじゃないか。あたり一面白濁。乳房から臍にかけて脂肪分が滴っている。すこしむせびつつ、きょろっと涙目が二つそのつがいの乳首を射抜く。隆起したそれは視線が突き刺さってふるふると震えている。その振動の回転数は45。おそらくそれは8inchのドーナツ盤。穴のところが丁度チョコレート色に変色している。見れば見るほど振動数は上がっていく。なるほどVolumeというわけか。甘い香りが漂って鼻孔をくすぐる。白濁は思念を吸い取っていく。実体が消えていく。乳房が伸びたり縮んだりして均整が溶解していく。ぐにゃりと音を立て始める45回転。何かが揺らぎ始めている。安定感から唇をきゅぽんと外し、何かが揺らぎ始めているんだ、と再度呟いた。それは先ほど吐き出してしまった時点で溝が逸れ始めていたということへの皮肉だった。何もかもが今更なことなのだ。カーテンレールは歪曲して白濁が周りを包んだまま決して手放そうとはしない。気狂い始めたのはなにも白濁だけじゃない。軸や皿やつまみや針や電極でさえみんな患っているのだ。いつの間にか回転数が45から78へ移行し、きゅるきゅると歪で高周波な悲鳴をあげている。火照って熱い、摩擦。摩擦は焦げ臭さを棒読みしている。淡々と煙が上がって白濁が沸騰する。気化してスモークされる。白濁のスモーク、意識の潜水、或いは退化。世界が縮小していく、どんどんどんどん今まで以上に。背骨の砕ける音、ミニマルな世界の構築。ミニマルが伝播していく。水面の波紋、最小限を提言。きゅるきゅるきゅるきゅるきゅるきゅる。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加