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「かっちゃん遅いってー」
「転校生って男の子だったんだ。童顔じゃん、凄い可愛いー」
「入学早々赤メッシュかよ、ちょっとでしゃばってんじゃねぇ?」
何だこのクラス…。
雅人は唖然とする。
まず先生にタメ口。
次に転校生に対しての一言が強烈。
そして女子生徒のスカートが有らぬ長さ!(股半分辺りまで黒のスパッツを履いているからそんなに危なくはないが)
「こらこら、転校生に向かって失礼だろ。着席しろ」
だらだらと着席した生徒達を見て岡本も隣に立つ雅人の肩に手を置いた。
「転校生の山下雅人君だ、みんな仲良くしてやってくれ」
「山下雅人っす、よろしく」
丁寧に頭まで下げたが、後ろの席にいた男子生徒が舌打ちするのが聞こえた。
雅人が頭を上げる。雅人を睨みつける一人の男子生徒。
「まずは転校祝いってやつをやるよ」
ガタンと音を立てて男子生徒は雅人に歩み寄ってきた。
ショートの黒髪をツンツンに立たせて、肩を張るように歩く。
「こ、こらっ長嶋!転校生に対して…」
担任の忠告を遮ったのは雅人だった。
雅人も長嶋に歩み寄る。
「ハッ、やる気満々じゃねぇかよ」
長嶋と呼ばれた男子生徒は拳を構え、雅人に殴りかかる。
しかし、その拳は虚しく空気を割いただけで、シュッという音が聞こえた。
唖然とする長嶋の右頬に雅人の拳が入る。
勢い良く長嶋は他生徒の机に倒れ込んだ。
「わりぃわりぃ、俺さ前の町じゃ喧嘩が強いで有名だったんだ」
「山下君カッコいいーっ」
女子生徒の黄色い声が聞こえて雅人はへへんと胸を張ってみせる。
「お前なんか、縁さんの足元にも及ばねぇぞ」
「は?ヨガ?とりあえず自分が強くなれっての」
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