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「山下君カッコ良かったよ、長嶋を殴り飛ばすなんて!俺もあんな風に強くなれたらなぁ…」
雅人の前の席に座っている男、名を北谷というらしい。
雅人の方を振り返って先程の手荒い歓迎を仇で返したのを興奮して思い返している。
「まあな。俺って強いから」
「じゃあ女子にもモテてたとか?」
「当たり前だ、毎週違う女子と会ってた」
北谷の目が輝く。雅人に対してどうやら尊敬の念を抱いたらしい。
「なぁ、さっきの奴が言ってたヨガって誰?」
「ヨガじゃなくて縁さんだって!縁さんをそんな風に呼んじゃダメだよ、縁さんはこの学園の不良集団の団長なんだから…」
「不良集団?」
雅人の目が光る。
「うん、『ゼラニウム』っていうグループで、一応俺も所属してるんだけど」
「ゼ、ゼラニ…?」
「ゼラニウム、みんな略してゼラって言ってる」
雅人は顎に手を当て難しい顔をする。
そして、ハッと閃いたかのように勢い良く北谷の肩を掴んで大声を上げた。
「北谷、今日の放課後ゼラの集合場所に連れてってくれ!」
「良いけど…どうして?」
雅人はニッと白い歯を見せて笑う。
「決まってんだろ、ゼラを乗っ取るんだよ」
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