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海藤 漣あらわる
ここは都内神楽坂署。
今日、いとも変わったエリートがいらっしゃる。
東大卒のその羨ましいエリート階段を暴走の如く逆走する男の名は海藤 漣。
その秀才ぶりは確からしが、何故かこの部署を自ら選んだのかは謎だ。
とも言う僕は神楽坂署一の無鉄砲さを誇る、エリートでもなんでもない駐在からコツコツここに辿り着いた伊勢原 潤。
趣味は悪戯にData収集。
この謎の男、海藤 漣を歓迎する為、僕は同期の原西 井草という男とここ、インドカリー専門店ユバにいる。
ここのチキンカリーは滅法旨く評判だ。
今日は、海藤 漣の歓迎会をしようと言う魂胆だ。
けれど、原西と二人だけなのには理由がある。
海藤 漣の別名は予告犯killerの海藤。
そのお手並み拝見と言うわけだ。
幾らエリートだと言っても臆する事はない。
その羨ましい限りの道を捨てた男なのだから。
何か問題でも起こしたのかと過去のDataをあらってみたが、特に問題は無く、数々の事件を解明し、優秀という言葉が板につく。
そこがこの俺の悪戯心に火を付けたのだ。
なんせ、海藤 漣は26歳。
年下の癖に鼻につくじゃないか。
俺なりの歓迎をしようと目論んでいる。
『そろそろじゃないか…』
原西が腕時計を見て言った。
僕はチキンカリーをのんびり食べながら壁掛け時計を見上げる。
そろそろ、海藤 漣が神楽坂署に到着する頃合いだ。
『おばちゃん、ご馳走様』
僕は代金を払うと、カリー屋のおばちゃんと含み笑いをして店を去った。
さぁ、ここからが本番だ。
海藤 漣、神楽坂署へようこそ…。
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