62人が本棚に入れています
本棚に追加
夏休みだというのに友達は皆バイト。彼女もいない俺は3000円を握り締め、本屋で立ち読みしたり牛丼を食べたりとその暇を持て余していた。
特に目的がある訳でもなく18歳の夏という青春な時期に1人でウロウロする自分が寂しくもあり情けなかった。
夜遊びや酒やタバコといった事に触れることもなく真面目な自分から脱却したいなんて願望が顔を出すが、かと言って何かに挑戦する勇気もない、ダメな奴だと自分でも思っていた。
そんな事をぼんやり考えながら本屋から出ると駅から連なる歩道橋の上に真理を発見した。
真理は俺が中学時代に片思いだった女の子だ。当時は話す機会もあまりなくて仲良くなれなかったけど今ならいけるかも。偶然を装って真理に話しかけよう。ポケットの金で駅の近くにあるミスタードーナツにでも行こう。
だが、そんな想いも真理の横にいる男が視界に入った瞬間、どこかへ行ってしまった。
真理が大人に見え充実しているように見え羨ましかった。仲良く手を繋ぎ歩く2人の姿が頭から離れない。真理に見つからないよう慌てて身を隠し気が付けばパチンコ屋の前にいた。大人になりたかったのか、背徳感を背負いたかったのか。パチンコ屋のドアに手をかけた。
その有耶無耶な気持ちの出口がパチンコ屋だったのだろうか…
最初のコメントを投稿しよう!