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ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ …
凍てつく夜の森に、無数の足音が不気味に響き渡る。
『もう…もう駄目だ…マリン。奴らに囲まれた…。』
『!』
森の中にひっそりと建つ、小綺麗な造りの小さな家の地下室に、息を殺して震える影が2つ…
『マリン、奴らは私を殺せない。
このマルナムの科学力欲しさに国を2つ消したんだ。
私を捕らえる事が目的だ。
だが、お前は危ないんだよ。
…わかっているね?』
『お父さん……。』
バン!ガタン!
ダダダダダ!
『!』
『くっ…。
やはりここももうじき見つかる…。
マリン、私の可愛いマリン…。
いいかい、私もすぐに行くから、
お前は先にコレを持ってアレに乗りなさい。』
『やだ!!お父さんも一緒に…!』
『マリン!
私もすぐに向かうから大丈夫だよ。
私が少しの間奴らの気を引くから、
お前はその間にアレに乗り込んで
一緒にすぐに動けるよう
起動しておいておくれ。
お前なら簡単だね?』
『うん…。でも…』
ガンッ!ガンッ!
ガンッ!ガンッ!
地下室の扉を複数の何者かがこじ開けようとしているようだ。
『もう時間が無い!マリン!頼む!』
『……っ!はいっ!!』
弾かれるように小柄な影が小型の球体の中へと駆け込むと、
素早くそのマシーンを起動させた。
バタン!!!
【バタン】カチッ
扉が勢い良く開くと同時に、球体の扉が閉まった。
バタバタバタバタ…
『居たぞ!』『続け!』『捕らえろ!』
次々と鎧姿の兵士達が雪崩れ込む。
ウィィ…
『!』
『ちょっ!』
『お父さん!?』
『やだ!』
『開けて!!開けてっ!!』
ウィィ…イイ…
マルナムが居たぞ!
石はどこだ!
娘が居るはずだ!
!
何だあれは!?
兵士たちはマルナムを押さえ込み、
ガタガタと震え始めた球体に気付くと
1人2人と後ずさった。
『嫌っ!お父さ……!』
キュウゥ … ン… …
球体は小さく光り、同時に鳴くと
その場から煙のように消え失せた。
何だ! 何だあれは!?
貴様ぁ何をした!
ガツ!ドガッ!
『うっ! ガハッ!』
隊長と思われる兵士の蹴りが
マルナムの腹と顔にまともに入り、マルナムはうずくまった。
『…これでイイ…マ…リン…』
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