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…お父さん…
お父さん…
マリンはひたすら泣いていた。
時空間を移動する、父マルナムの発明した
超時空高速転送機。
まだ未完成な為、
転送先が全くわからない。
暗闇に包まれ、
ガタガタとただ揺れる機体。
マリンの胸にはマルナムから預かった、
小さな箱。
それを両手でギュッと握りしめ、
溢れる涙をそのままにして…
『!』
機体が突然
まばゆい光に包まれた。
カッ!!
キュウゥー…ン
『!着いたの!?』
パッと周囲が明るくなり、
機体がカクンと傾いた。
ザクッと音がして、
どうやら機体は無事
どこかの場所に到着出来たようだ。
『……。』
『ど、どこに着いたの……?』
カチッ ウィィン
マリンは機体の扉を開けると
恐る恐る外に出た。
『まぶしい。
朝か昼…かしら…』
空気はじめっと蒸し暑い。
辺りはうっそうと茂る雑木林のようだ。
『ここ…どこだろう…。
どこの国?
それともやっぱり違う世界…?』
場所を確認しなきゃ
と、
胸ポケットから100円玉より少し厚いくらいの
金色でコイン型の何かを1枚取り出すと、
少し膨らんだ中央部分をカチリと押し
前方へ投げた。
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