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老人の体がどんどんと大きくなり、教会の天井ほどもある大きさの化物へと変貌した。
紅い槍も巨大化していて、その紅い輝きが禍々しい。
少年は化物を見上げた。少年に焦りの表情はない。
「…まさかガイウスの大槍までもっていたとはな。」
そう言って少年はハンドガンを構えなおした。
「貴様…この槍の事も知っていたのか。」
老人の化物は少年をその赤い目で睨みつけた。
少年はニヤリとわらう。
「地面の奥深く、深淵に存在する魔物の門、そこに封印されている帝の一人、血ヤリのガイウス、一突きで立ちはだかる全てをなぎ倒したと聞く。手にした者の10年と引き換えにその力を与えるって危ない代物だ。」
化物は高笑いした。 「その通りだが…それを知っていても状況は変わるまい。10年もの命を払ったんだ、貴様には消えて貰う。」
化物は紅い大槍を振り上げると、少年に向かって槍を突き立てた。
恐ろしい音と共に地面がえぐれる。
…逃げ足だけは速いようだな。
少年は化物の肩にいつの間にか乗っていた。
化物は大きなうねり声を上げるとまるで肩に虫でも止まった時のように、肩から少年を振り払った。
少年は高く飛びまた同じ位置、地面のえぐれた所へ着地する。「遊んでやるよ。」
少年は小さく笑った。
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