綾苑寺の当主

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綾苑寺の当主

それは政略結婚に持ち込まれた時でした。 「嫌です!!私は自分で一緒に歩む人を見つけます!それに相手は病弱だと聞きました。好きでもない人の看病をするなんて無理です!」 「撫子さん、なぜそんなに拒むのです。綾苑寺(リンオンジ)さんが是非と仰っているのよ。お願いよ、撫子さん。私たちの名高い家元に名を恥じるようなことをしないでちょうだい。明日は綾苑寺さんの御家に呼ばれていますから、きちんと腹をくくってもらいますからね。」 お母様とお父様に言われるままに、私は唇を噛み締めることしかできなかった。 私だって、好きな人がいるのに‥なんでお嬢様として生まれてきてしまったんだ。 悲しくて堪らなくなった。 それでも、逆らうことが出来ずに私は綾苑寺さんの御屋敷に行くことになってしまった。
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