プロローグ

4/4
前へ
/68ページ
次へ
それによって危険を察知したのか秋穂を虐めていた二人は、教室の扉を必死に開けようとしていた。 「おい!お前何をした!」 「ここから出しなさいよ!」 二人は私の魔法と思っているけど私じゃない。 まさか……!この球が行方不明事件の原因!? 「秋穂!私の所へ来なさい!」 「はっ、はい!」 このまま死ぬのかもしれないのに、何故か私は彼女を呼んでいた。 「どんどん大きくなってますよ!」 秋穂が黒い球を見るとそう叫ぶ。 「何で開かないのよ!カギは開いてるのに!」 ふと、二人組の方を見ると彼女達の姿はもうない。 扉は開いておらず、外に逃げられたわけじゃないようだった。 そして球体は私達を飲み込もうと一気に大きくなり。 「あっ……!」 秋穂が球体に飲み込まれていく。 しかし引っ張り出して助けるスペースなど、もうどこにも無い。 「きゃーっ!」 そして私は秋穂の手をしっかり握った状態で球体に飲み込まれた。 球体の中は真っ暗で、地面から浮いているような感じ。 そして私の手には、秋穂の手が感じられる。 目に見えないだけで彼女はすぐそこにいるのだろう。 私は開いている手で彼女の身体を探し見つけると、決して離さないように抱きしめる。 彼女を一人にさせたくないのと、自分自身も一人になりたくなかったから……。 「うっ……」 彼女を抱きしめた後、突然意識が薄れてくる。 私このまま死ぬのかしら……。 意識が途切れる頃には頭から何かに引っ張られる感覚がした。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加