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それによって危険を察知したのか秋穂を虐めていた二人は、教室の扉を必死に開けようとしていた。
「おい!お前何をした!」
「ここから出しなさいよ!」
二人は私の魔法と思っているけど私じゃない。
まさか……!この球が行方不明事件の原因!?
「秋穂!私の所へ来なさい!」
「はっ、はい!」
このまま死ぬのかもしれないのに、何故か私は彼女を呼んでいた。
「どんどん大きくなってますよ!」
秋穂が黒い球を見るとそう叫ぶ。
「何で開かないのよ!カギは開いてるのに!」
ふと、二人組の方を見ると彼女達の姿はもうない。
扉は開いておらず、外に逃げられたわけじゃないようだった。
そして球体は私達を飲み込もうと一気に大きくなり。
「あっ……!」
秋穂が球体に飲み込まれていく。
しかし引っ張り出して助けるスペースなど、もうどこにも無い。
「きゃーっ!」
そして私は秋穂の手をしっかり握った状態で球体に飲み込まれた。
球体の中は真っ暗で、地面から浮いているような感じ。
そして私の手には、秋穂の手が感じられる。
目に見えないだけで彼女はすぐそこにいるのだろう。
私は開いている手で彼女の身体を探し見つけると、決して離さないように抱きしめる。
彼女を一人にさせたくないのと、自分自身も一人になりたくなかったから……。
「うっ……」
彼女を抱きしめた後、突然意識が薄れてくる。
私このまま死ぬのかしら……。
意識が途切れる頃には頭から何かに引っ張られる感覚がした。
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