1 旅立ち

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 ウィクネは親に見付からないように家に帰り、旅支度を済ませ、誰にも気付かれないようにマル村から出ていった。  村を出て、今まで行ったことのない所まで歩き進んだ。  見渡すばかりの草原には遠くにぽつんとマル村を残すだけで後は何も見えない。  なるほど、本当にに自分の村は田舎なのだと改めて実感した。  さて、これからどうしようかと、頭を巡らせる。  一応、部屋に用意されていた青い軽装の鎧と安物の、けどティアラが魔法をかけてくれた剣を身に付けているので、自衛くらい出来る。  食料は節約して一週間分。少食なウィクネなら頑張れば十日間は持つ。  勇者に選ばれた者の通例としてはまず教会に赴き、神の加護を受けなければならないが、生憎ウィクネは教会の場所を知らなければ、地図の読み方も分からない。  いきなり、八方塞がりだが、ウィクネは昔、ティアラに空を飛ばして貰った時にある方向に建物を見たことを覚えていた。  とりあえず、そこを目指すことにする。
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