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ウィクネは状況を把握仕切れなく、唖然としている。
「何、ぼうっとしてるんだい、ウィクネ」
まさか、自分に本能が身体の危機を察知して新たな能力を託してくれたのか、と妄想を膨らましていたウィクネに上の方から声を掛けられた。
見上げると大樹の枝に腰を掛ける美女がいた。
ウィクネには彼女に見覚えがあった。
「グ、グレイス!?」
ウィクネは驚きの声を上げた。
赤い長髪は結わずに垂れ流され、綺麗な光沢を持っている。鋭い形の眼は強い意志を感じさせる髪と同色の赤色。
豊満な胸を布一枚で覆い、露出度は極めて高い。
下半身はロングスカートだが、太股まで露になる深いスリットがあり、白い肌を際立たせている。
素晴らしい美人だが、その背中にはドラゴンの翼、尻尾が見え隠れしている。
ウィクネにグレイスと呼ばれた彼女はティアラの使い魔であるドラゴンが人の姿をしている状態だった。
ティアラはとっくにスレイスと一緒に行ってしまっているのに此処にグレイスがいることにウィクネは驚きを示したのだ。
「なんで、お前がこんな所にいるんだよ」
当然の疑問を口にしたつもりだが。
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