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「なんでって、本当に分からないのかい? 全く鈍感なのも程々にしといた方が良いぞ」
グレイスは飽きれた表情を浮かべている。
「あの、何が言いたいのか、全然分かんないんですけど。いや、でも、じゃあさっきの火の魔法はグレイスか、とんでもない魔物がいると思って焦ったよ」
ウィクネはウィクネで不思議そうな顔をしている。
「はぁあ、御主人様命令さ。置いて行っちゃったけど、ウィクネの事が心配で、心配で仕方ないからって、私にアンタのお守りを頼んで来た訳さ」
ウィクネはグレイスの話を聞いて凄くとろけそうに顔の筋肉を緩めている。
「はいはい、顔が緩んでるよ、引き締めな。アンタが今考えるべき事は今後の行動でしょ」
グレイスはウィクネの前に降り立ち、忠告する。
「わかってるよ。俺は、俺はティアラの期待に応える。俺が魔王を倒す」
「期待じゃなくて、心配されているんだぞ? けど、いい返事だ。勿論、私も付き合うぞ、あんな男はマスターに相応しくない」
グレイスもティアラの旅の同行人のスレイスの事が気に入らないようだ。
「じゃあ、まず、やっぱ、教会目指さなきゃな」
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