105人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
必死に説得するティアラもついには泣き出してしまう。
ウィクネはそんなティアラを見て慌てるが、今更引き去る事も出来ない。
泣き顔も可愛いなぁ、などとあらぬ方向にしか思考を巡らすことが出来ない。
「私の方が一個年上だから、先に旅立ちの日が来ちゃったけどウィ」
「探したよ、マイハニー」
泣き出したティアラの重大な告白の途中にも関わらず、ふてぶてしい声を横槍してきた少年スレイス。
黒い髪に鋭い目付きに、鍛え上げられた細い身体からは出来る男のオーラを放っている。
まだ寝間着姿のウィクネとは違い黒い鎧で身を固めていて既に冒険の準備は整っている。
「………」
ウィクネは正直この幼なじみのスレイスという男が大嫌いだ。何故ならいつもティアラに言い寄って来るからだ。
ティアラ本人もかなり迷惑に思っている。ティアラはスレイスに対して一瞬足りとも気のある素振りさえ見せていない、まして、逆に拒絶の意志を幾度なくと伝えてきた筈だ。
スレイスはそれに気にしたふうもなく平然と接してくる上に、勝手に村中に実際は非常に仲が良いなどと嘯いている。
お陰でティアラはツンデレ幼なじみキャラにされている。
最初のコメントを投稿しよう!