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何も反応しないウィクネを無視してスレイスはティアラの手を掴み、連れて行こうとする。
「嫌、離してよ」
「ふっ、ホント素直じゃないな君は」
ウィクネは思う、なんでコイツはこんなに気持ち悪いくらいボジティブなのだと。
ティアラは嫌がり立ち止まるが、手を振りほどこうとはしない。
スレイスはその仕草を見て、自分に自信を持っていた。
実際はティアラはウィクネが助けに入ってくれるのではないだろうかとピンク色の妄想に陥っており、自力で逃げ出すことを放棄していた。
ウィクネは一瞬止めに入ろうかと思ったがかといって、ティアラが本気で嫌がっていないように思えず、勇気を振り絞る事が出来ないでいた。
確かにティアラはスレイスに絡まれる度に本気では抵抗していなかった。
スレイスは優秀な剣士だが、ティアラはそれ以上に勝る天才の魔導師だ、本気を出せば簡単に撃退する事が出来る。
ティアラはスレイスに絡まれる度にウィクネが助けてくれると毎回信じているのだ。今のところ彼女のそんな思いは一度も叶うことはなかった。勿論、今回も。
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