1 旅立ち

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 ティアラはウィクネに助けて貰えない現状で、これ以上好きでもない異性に腕を触られる事を耐えるつもりもなく、ついでに勝手な噂を流した腹いせを兼ねて攻撃魔法を食らわす為に魔力を解き放とうとする。  と、そこに次はティアラの父親が現れた。 「おお、やはりここにいたか、ティアラ。スレイス君のご両親はもう広場に集まっておるぞ。若い二人の旅立ちを見送るためにのぉ」  ティアラ父は魔法発動寸前のティアラとスレイスを引き摺り広場に向かい出す。  ウィクネ母は息子が傷付いて家を出て行ったことを全く気にした風もなく「気を付けてね」なんて他人の子供に声を掛けている。  ティアラは父親を巻き込む訳にもいかず引き摺られるままだ。内心はまたピンク色の妄想にフケていた。  やっぱ、ヒーローは土壇場で登場するのよ。今から広場で無理矢理私はスレイスと婚約の契りを交わされて、誓いのキスをされそうになるのよ、そこでウィクネが颯爽と現れるのよ、「俺のティアラは誰にも渡さない」なんて言ってくれるに決まっているわ。そして、片手に私を抱き抱えて苦戦しながらもスレイスを倒すのよ。
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